その五

<その五>
砥石について
水は砥石の上に直接当てず、少しずつ水をすくってかける感じが良いです。
研いでいると、ドロドロの汁が砥石の上にたまってくると思いますが、
このドロドロが大事です。

研ぐとは、刃と石がこすれることではなく、
石から出た汁と刃がこすれることなのです。

だから砥石の上に蛇口を持ってきてしまうと、
大事な汁が流れてしまうのでやめてください。
ここが大事なポイントの一つです。

あと、抑える指にあまり力を入れない方がいいと前回書きましたが、
スピードも要りません。速くこすっていると、包丁が熱を持ちます。
刃物は熱に弱く、良い包丁でも刃が弱くなってしまいます。

だから刃物を研ぐ業者さんが、電動の早く回転する砥石で研ぐ場合は、
沢山水を当てながら研いでいます。ドロドロの汁の話とは矛盾するように思えますが、
そうしないと刃が熱を持ちすぎてしまうからです。
ゆったりとした気持ちで包丁を研ぐこと。これも大事なポイントです。

10回ずつ指を変えていくのも大事なポイントです。
こうすると包丁の形が変わりにくいです。
続く